January 12, 2022

2022年賀状作成秘話

SRの会では、イベントでお世話になった作家の方などに
2016年から年賀状をお出ししています。
(昨年までの分はマンスリー434号で記事になっています)

図案はCarr Graphicでお馴染みの森咲郭公鳥さん。
毎年、干支とミステリにちなんだ作品となっていますが、
さて今年の趣向は…

2022年賀状作成秘話

年賀状のモチーフは、原則としてSRの殿堂入り作品から選ぶことにしており、2022年は『黒いトランク』にしました。「(白のない)黒いとら(寅)」が「トランク」を担いでいるというのがポイントです。
 絵の中には、本作品が書かれた当時に二島駅を発到着する機関車を入れたく思い、その機種が何か、そう簡単にわかるものではないところを、SRマンスリーで「鉄道と地図から眺めるミステリ」を連載中の井上さんにお問い合わせさせていただいたところ、二島駅を発到着する車両の基地(機関区)は、同じ筑豊本線の若松駅(にあった若松機関区)だと考えられ、当時、若松機関区にあった(黒いトランクを運んだ可能性のある)貨物列車を牽引する蒸気機関車であれば9600形ではないかとご回答をいただきました。
この場を借りて、井上さんと仲介の労を取っていただいた佐竹さんに、あらためてお礼申し上げます(それにしてもSRの方々の知識量の深さには驚くばかりです)。
 機種さえわかれば、あとはもうこういう時代ですので、ネットを駆使して画像を50枚ほど拾い集め、様ざまな角度からスケッチしました。結果としては、それらをデフォルメした、後ろ向きのデザインとなりましたので、これを見て9600形とはわからないと思いますが、単に頭の中で考えただけのものではない重みを持たせられたのではないかと思っています。
プラットフォームについては、残念ながら当時の二島駅の写真を見つけることができず、筑豊本線の他の駅を参考にして描きました。
 線路がX字に交差しているのは、作品中に出てくるトランクの「X」と、鹿児島本線と筑豊法線の交差(本当にこんなダイヤモンドクロスになっているかどうかは別として)の二つの意味を込めました。
 それから、これは余談ですが、皆さんは、本作品に登場するトランクが、横の長さが五尺六・七寸、縦と厚みが一尺と表現されていることを覚えていらっしゃるでしょうか。一尺が30センチとすると、縦と厚みが30センチ、横が168センチ〜171センチであり、かなり細長いもの(言っては悪いが
棺桶のような形状)となります。
 トランクに死体を詰めるというと、手足は曲げて折りたたんで詰めるというイメージを持ちますが、当時の日本人の身長は、男性でも170センチを超える人はそう多くはなかったと思いますので、このトランクにはそのまま寝かせて入っていたのだと思います。ただし、その縦横比を忠実に再現すると、トランクらしいトランクには見えなくなってしまいますので、寅には、もう少し一般的な形と思われるトランクを担がせました。
                           終わり


                        
sr2022
k05


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